戦評
第3戦の豊田合成戦では機動力溢れる戦いで快勝を収めたフェニックス。若手のフレッシュパワーも炸裂し、勢い十分で新潟国体に挑んだが、広島県代表(湧永製薬)の上手さの前に惜しくも優勝を逃した。タイトルは逃したものの、ここで崩れてしまっては「総合4連覇」、さらに「日本リーグ5連覇」も雲行きが怪しくなるだけに、気持ちを切り換えてトヨタ紡織戦に臨む。今後のフェニックスを占ううえでも重要な一戦となる。
立ち上がり、この試合のポイントであるトヨタ紡織九州の変則ディフェンスを、練習通りに切り崩し、末松が先制点を挙げる。しかし相手のポストを守ることができず、失点してしまう。その後も、得点をするもののディフェンスで踏ん張ることができず、25分過ぎまで互角の戦いが続く。しかし、ここから白の絶妙な“バックシュート”や、野村の勢い溢れる“ロングシュート”で得点を重ね、18−15の3点リードで前半を折り返した。ハーフタイムでは、前半に得点を許している“ポストの守り方”を中心にポイントを再度確認し、後半に臨んだ。
後半の立ち上がり、いきなり1人退場、さらに相手に7メートルスローとピンチを迎える。しかし、ここで今季初出場のゴールキーパー田中が、“ダイナミックな駆け引き”から、相手のシュートミスを誘い得点を許さない。逆に1人少ない場面で代わって入った渡久川がポストシュートを決め、このピンチをうまく切り抜ける。その後は末松、白の落ち着いたコントロールから、野村、武田などが得点を重ね、じりじりと突き離していく。しかし17分過ぎ、続けて退場者を出してしまい、“コートプレイヤーが4人”というピンチを迎える。ここで得点を許せば流れが大きく変わってしまうが、この場面でキャプテンのゴールキーパー高木が、相手のノーマークサイドシュートをピシャリとセーブ。さらに続けてサイドシュートをセーブし、相手に流れを渡さない。22分過ぎ、武田のロングシュートでこの日最大の8点差をつけると、ここからは落ち着いたゲームを展開し、終始リードを保ったまま35−29で勝利を収めた。
◆今回の試合のポイント
・相手が得意とする変則ディフェンスを、徹底したオフェンスで崩した。
・2人退場のピンチに、ゴールキーパー高木の好セーブで流れを渡さなかった。
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2本の7メートルスローを
セーブしたゴールキーパー田中

スピード溢れるオフェンスで
相手を切り崩した |